経済

日銀の利上げ予告をよそに進む円安 #エキスパートトピ

12/2/2025

12月1日、日本銀行の植田総裁は、今の日本の経済の様子についてお話ししました。それに加えて、これから日本銀行がお金の政策をどうするかについても、はっきりとした考えを伝えました。特に、来年みんなのお給料がどうなるかを見て、金利をもう少し上げるかもしれないという前向きな考えを示したのです。

10年物国債の利回りチャート

総裁は「色々な数字や情報をよく調べて話し合い、金利を上げるかどうかをきちんと決めていきます」と説明しました。これで、金利を上げることが本当に考えられている話題だということが、もう一度はっきりしました。

今、アメリカの関税についての心配が少し和らいでいます。また、来年の春に行われるお給料の交渉がうまくいきそうな様子も見えてきました。もしそうなれば、今年のうちに開かれる日本銀行の重要な会議で、金利を上げる決断がなされる可能性が高まっています。このニュースの影響で、新しく発行される10年物の国債の利率は、一時的に1.880%まで上がりました。利率が上がると、国債そのものの値段は下がる傾向があります。

お金の専門家たちは、植田総裁のお話が市場の気持ちに大きく影響して、日本の長い期間の金利がどんどん上がる傾向を強めていると考えています。日本とアメリカの金利の差が小さくなるので、ドルが安く・円が高くなるという見方もあります。でも、実際の為替市場では、円が一時的に高くなっても、すぐにまたもとの円安の水準に戻ってしまう動きが続いています。これは、日本銀行が金利を上げられる余地があまり大きくないとみられているため、投資家たちが再び円を売っているからだと分析されています。

今の日本経済では、物の値段が上がる圧力は感じられますが、日本銀行が決める大切な政策金利は、相変わらず0.5%のままです。市場で働く多くの人は、この政策金利が最終的には1.25%から1.5%くらいまで上げられるだろうと予想しています。つまり、金利を上げる機会は、あと3回か4回くらい残っている計算になります。だから、もし12月に金利を上げることを決めると、それは単に金利が上がるという意味だけではありません。金利を上げる残りの回数が減ってしまうことで、かえって人々が大胆に円を売る動きを強める可能性もあるのです。

このように、12月の金利上げをきっかけに、円安がもっと進んでしまうというシナリオが現実的になってきています。総裁がお話ししたことと、実際の為替の動きがどこで違っているのかは、これから市場がどう動くかを理解するための、とても大切なポイントになるでしょう。